日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコの病害防御応答とPDR様ABCトランスポーター
*一瀬 勇規シェンケ ディルク笹部 美知子稲垣 善茂豊田 和弘白石 友紀
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p. S001

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抄録
タバコ培養細胞BY-2にジャガイモ疫病菌の生産するタンパク質性エリシターINF1エリシチンを処理するとpleiotropic drug resistance (PDR)-type ATP-binding cassette (ABC) transporter like protein (NtPDR1)の遺伝子発現が誘導される。NtPDR1の発現は、エリシチンだけでなく細菌由来のエリシター フラジェリンや非特異的エリシターであるYeast Extractの処理あるいはメチルジャスモン酸の処理によっても誘導されたが、アブシジン酸やサリチル酸の処理では誘導されなかった。また、NtPDR1の発現は植物の代表的な防御遺伝子であるPALと同様、タンパク質リン酸化酵素の阻害剤やタンパク質合成阻害剤の処理により抑制された。NtPDR1遺伝子のプロモーターにはGCC box、as-1 box、ジャスモン酸応答性エレメントの他、複数のW Boxが存在していた。これらの結果はNtPDR1が塩基性PRタンパク質の一つであることを示唆している。植物の病原菌防御応答の一つとして抗菌性物質の合成蓄積が挙げられる。細胞膜に局在していると予想されるNtPDR1遺伝子産物は植物細胞・病原体双方に毒性を示す抗菌性物質を細胞外に輸送し、効果的に病原体の生育を阻害していると推定される。
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© 2004 日本植物生理学会
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