抄録
経営効率性を測定するための手法として包絡分析法(DEA)がある.この手法は他の事業体と相対比較することによって効率性を測定する.しかし,これまでのDEAモデルは効率的な事業体との比較のみに着目しており,非効率的な事業体との比較を行うことはなかった.このことは,非効率的な事業体の改善案に目を向けると,長期的な目標を設定することはできるが,段階的な目標設定には適さないと考えられる.そこで,非効率的な事業体との比較を順位関係という尺度でDEAモデルに組み込んだモデルを作成した.このモデルの目的関数は2項から成り,第一項は従来モデルと同様であり長期的目標値を得るためのものであり,第二項に順位関係を表す項があり短期的目標値を得るためのものである.本研究では提案したDEAモデルの数値検証を行い,その動向を明らかにすることが目的である.