日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高等植物におけるトリテルペン骨格の多様性とその分子的起源
*渋谷 雅明
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p. S017

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抄録
高等植物が生産するトリテルペンは多様な構造と生物活性持ち、配糖体の形で根や種子などの特定の器官に蓄積している。これらトリテルペンは多様な構造に依存して多様な生物活性をもつため、薬学的見地から非常に興味深い化合物である。一方、トリテルペンの生合成はオキシドスアレンの閉環反応で一次代謝のステロールの生合成と分岐しており、トリテルペンを二次代謝産物として分類することも可能であるが、植物内での本来の機能についても植物生理学的に興味深い。オキシドスクアレン閉環酵素はトリテルペンの構造多様性の最初の源となっており、これまでに単離されたトリテルペンの骨格は80種を越える。これまで、ステロール生合成に関与するサイクロアルテノール合成酵素に加え、トリテルペン生産植物から、β−アミリン合成酵素、ルペオール合成酵素、イソマルチフロレノール合成酵素、タラキセロール合成酵素、ククルビタジエノール合成酵素、混合アミリン合成酵素、ダンマレンジオール合成酵素、アキレオール合成酵素が演者の研究室においてクローニングされている。本シンポジウムでは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のゲノムに存在する13種のトリテルペン合成酵素の構造と反応機構についての最近の成果を発表し、高等植物におけるトリテルペン骨格多様性とその起源について議論する。
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© 2004 日本植物生理学会
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