日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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遺伝子情報が豊富なマメ科モデル植物タルウマゴヤシのトリテルペノイドサポニン生合成の機能ゲノム学
*鈴木 秀幸Lahoucine AchnineDavid V. HuhmanLloyd W. SumnerRichard A. Dixon
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p. S018

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抄録
マメ科モデル植物タルウマゴヤシのメタボローム解析として、我々はトリテルペノイドサポニンをLC-MSで分析し、得られた27種類のサポニン成分をMS/MS解析から5種類のアグリコン(soyasapogenol B/E, medicagenic acid, hederagenin, bayogenin)の配糖体に大別した。5種のアグリコンは2,3-オキシドスクアレンの閉環反応によって生成するβ-アミリンの水酸化反応によって生成し、さらに配糖化反応によって多様なサポニンを生成することが示唆された。β-アミリンを生成する初期経路に関与する生合成酵素遺伝子の機能同定するため、タルウマゴヤシESTのデータ解析より得られたスクアレン合成酵素(SS)遺伝子を大腸菌、スクアレンエポキシダーゼ(SE)遺伝子及びβ-アミリン合成酵素(β-AS)遺伝子を酵母に導入して、発現タンパク質の機能解析を行った。ジャスモン酸メチル(MeJA) 処理後の培養細胞の時間的な遺伝子発現の変動をノーザン分析、サポニン含有量の変化をLC-MSで分析した。その結果、サポニン含有量がMeJA処理後24時間後に約10倍に増加し、β-AS遺伝子の転写量は処理後8-24時間後に約30倍に誘導され、SS及びSE2遺伝子も同様な転写量の変動が見られた。以上のことより、MeJAはサポニン生合成経路の生合成遺伝子群を特異的に誘導することが明らかになった。この培養細胞を用いて、サポニン生合成の重要遺伝子同定と代謝ネットワークの解明を進めることができる。
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© 2004 日本植物生理学会
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