抄録
本研究は,小学校第4学年の児童が学校放送番組を視聴する際に,内容を場面ごとに整理する分析的視聴シートを継続的に活用することで,認知的映像視聴能力における順序再生に与える効果を検証することを目的とした。児童は全7回の実践を行い,3回目と7回目の実践後に,映像の内容を時系列で再構成する順序再生テストと質問紙調査を実施した。その結果,3回目の実践後のテストでは24名中19名が正しく順序再生を行えたのに対し,7回目の実践後のテストでは23名に増加しており,分析的視聴シートの継続的な活用が順序再生に影響を与えた可能性が考えられる。さらに,7回目の実践後の自由記述においては,主題把握や構造理解に関する記述があり,順序再生にも影響を与えることが示唆された。