日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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経時的に不安定なsilencingが示唆するChlamydononas reinhardtiiのRNAiカスケード
*大濱 武山崎 朋人
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p. 038

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抄録

Chlamydomonas reinhardtiiにおいて hairpin dsRNAを転写するように設計したinverted repeat DNA constructを導入することでRNAiを誘起することに成功した。標的遺伝子としてspectinomycin耐性賦与遺伝子aadAを、silencerとしてaadAのinverted repeatを用いた。しかし、RNAiによる標的遺伝子の不活性化は不完全で、かつ体細胞分裂を経るにしたがってRNAi効果が弱くなった株が増えた。300 micro g/mLのspc 含有プレートで生育可能であった元株は、RNAiの誘起によって、60 micro g/mLのspc 含有プレートが生育限界となった。しかし、30-50回の体細胞分裂後には、200 micro g/mLのspc 含有プレートでも生育可能となった細胞が約5%現れた。生育限界のの変化はdsRNA、siRNAの量に反比例し、dsRNA量の変化は、inverted repeat部分のシトシンへのメチル化の程度と相関関係があった。Target のaadA遺伝子では、メチル化が検出されないことからInverted repeat部のDNAメチル化はDNA-DNA interactionによってシスに引き起こされたと考えられる。このInverted repeat部のメチル化の程度が細胞分裂を繰り返す間に、細胞間でバラツキを生じ、ヒストン修飾を介したsilencerの発現量の差が顕著になったと考えられる。また、RNAi 効果が不完全で不安定な事からC. reinhardtiiではRNA dependent RNA polymeraseによるsilencer RNAの増幅やRNA dependent DNA modificationの機構は存在しない可能性が高い。

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© 2005 日本植物生理学会
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