日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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AtBCB、NtGDI1両遺伝子の示すAl ストレス耐性機構に関する解析: AtBCB 遺伝子は酸化ストレスの抑制に、NtGDI1遺伝子はAlイオンの排出に関連する
*江崎 文一佐々木 清邦松本 英明中島 進
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p. 129

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抄録
 AtBCB gene (Arabidopsis blue copper binding protein) とNtGDI1 gene (tobacco GDP dissociation inhibitor)のAl耐性機構について植物と酵母の系で解析した。
 まず、植物細胞内での局在性をGFP融合蛋白として観察した結果、AtBCB蛋白質は細胞膜上に、またNtGDI1蛋白質は細胞質に小胞として存在した。
 さらに非形質転換体(Ler)はAl未処理下ではリグニンの集積はなかったが、処理下では根端部に集積した。一方AtBCB形質転換体では、Al非依存的に常時集積した。また、多重染色顕微鏡観察の結果からは、リグニン集積がAl処理由来の酸化ストレスの抑制と、細胞膜機能の保持に効くことが示唆された。
 一方、温度感受性sec19-酵母変異株の相補性試験はsec19遺伝子が酵母でのAl耐性機構に関与すること、この変異をNtGDI1遺伝子が相補することを示した。sec19遺伝子は酵母の小胞輸送系で機能するので、Sec19蛋白質を介した排出機構が耐性に関与する可能性がある。従ってNtGDI1蛋白質も同様の機能を有すると思われた。
 これらは、AtBCBがAlの吸収抑制に、NtGDI1が排出促進に関連することを示しており、有機酸以外の新たなAl耐性機構であろう。
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© 2005 日本植物生理学会
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