日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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塩ストレス下におけるplasma membrane protein 3の細胞内のNa+,K+蓄積への関与
上田 晃弘稲田 真弓*高倍 鉄子
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p. 130

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抄録
過剰な塩分は植物の生長を抑制する。しかし塩生植物は高塩環境に適応した種であり,耐塩性を発達させてきた。イネ科に属する羊草(Aneurolepidium chinense)は塩類腺やのう状毛のような外観上目立った形態的な耐塩性機構を有していないものの,500 mM NaClストレス下でも生存できるために,優れた耐塩性機構を有していると考えられる。我々は先に,塩ストレス下で強く発現が誘導されるplasma membrane protein 3(AcPMP3)遺伝子をクローニングし,その発現解析を行った。その結果,AcPMP3遺伝子は塩ストレスのみならず,乾燥や低温,ABA,H2O2処理でも発現量が増加することが明らかになった。出芽酵母の塩感受性株YR93-31(Δpmp3, Δnha1, Δpmr2)では塩ストレス下で過剰量の塩分を蓄積することにより,塩感受性を示す。そこで,酵母YR93-31株でAcPMP3遺伝子を過剰発現させ,高塩環境下における表現型を調査した。その結果,形質転換株では高濃度のNaClやKClストレス下で塩感受性が回復され,細胞内のNa+やK+の蓄積量も減少していた。AcPMP3遺伝子は塩ストレス下では葉の葉肉細胞や根の表皮細胞で強く発現しており,これらの細胞においてAcPMP3が塩の蓄積の制御に関与しているのではないかと推察された。
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© 2005 日本植物生理学会
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