日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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エリシター誘導性プログラム細胞死の細胞周期による調節
*大野 良子門田 康弘藤井 伸介朽津 和幸
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p. 168

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抄録
植物におけるストレス応答と細胞周期制御との関係を明らかにするため、我々は細胞周期を同調化させたタバコ培養細胞BY-2に植物病原菌由来のタンパク質性エリシターを処理し、感染シグナル誘導性プログラム細胞死と細胞周期との関係を解析して来た。これまでに、細胞死の誘導に先立って細胞周期がG1とG2期で停止すること、細胞死の誘導は細胞周期の時期に依存的であることが明らかになった(Plant J. (2004) 40: 131-142)。そこで、生体防御応答シグナル伝達系に関与する諸反応の細胞周期依存性を解析した。エリシター処理後数分で起こる一過的な活性酸素生成、分子スイッチとして機能するタンパク質リン酸化酵素MAPキナーゼの一過的な活性化は細胞周期のどの時期でも誘導されたのに対して、細胞死に重要と考えられている長時間の持続的な活性酸素生成、持続的なMAPキナーゼの活性化はS期とG1期に感染シグナルを処理した時のみ誘導されることが明らかとなった。このことは、感染シグナルの受容は、細胞周期のどの時期でも起こるが、生体防御シグナル伝達系と細胞周期制御系がクロストークしている結果、ストレス応答が細胞周期によって調節されていることを示唆する。こうした現象の分子機構を解明するため、シロイヌナズナを用いて構築している実験系の解析結果も合わせて報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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