日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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大気中の活性窒素分子種の新規植物バイタリゼーション作用
*高橋 美佐Suaad E.-H. Adam中川 真紀子小中 大輔坂本 敦松原 俊之森川 弘道
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p. 188

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抄録
一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO2)の窒素酸化物 (NOx) は、従来は大気汚染物質と生物との関わりの範疇で認識されてきた。他方、近年では、NOは活性窒素(RNS)として動物、微生物、植物でのシグナルトランスダクションに重要な役割をもつことが明らかに成りつつある。しかし、大気中のNOxの生物RNS作用、あるいは他のシグナル・ストレス物質との協調作用などその生理作用の実態は未解明な部分が多い。Nicotiana plumbaginifoliaをNOx汚染空気で栽培すると、NOxフリー(NOx<5 ppb)の空気で栽培した場合よりもバイオマス、葉面積、C、N、S、P、K、Ca、Mg、遊離アミノ酸、粗タンパク質含量が、NOxフリー(NOx<5 ppb)で栽培した植物と比較して約2倍高かった。また、NOxが植物葉中の全窒素に占める割合は、3-5%であり、窒素肥料としてのNOx由来の窒素の寄与は無視しうる程度であった(昨年度本大会)。本研究では、シロイヌナズナについて調査した。自然光下、22℃、湿度70%の条件に設定した暴露チャンバー内で150および250 ppb NOxで4週間栽培した。その結果、NOxフリー(NOx<5 ppb)で栽培した植物体に比べ、シュートバイオマスは1.7倍、根バイオマスは1.4倍上昇していた。これらの結果について報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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