抄録
優れた乾燥耐性を示す野生スイカの葉組織は、乾燥強光に伴い優れたヒドロキシルラジカルスキャベンジャーであるシトルリンを約30 mM蓄積する。この蓄積機構を解明するために、初発段階と第5段階を同時に触媒する酵素glutamate N-acetyltransferase (GAT)に注目し、機能解析を行った。
野生スイカの葉から精製したGAT酵素は、2つのポリペプチドから構成されていた。5’-、3’-RACEによりGATのcDNAを単離したところ、この2つのポリペプチドは、単一の遺伝子にコードされていた。このことから野生スイカGATは、酵母GATと同様に翻訳後に前駆体の自己触媒的切断が起こると考えられる。さらにcDNAの解析から、GATのN末端側に26アミノ酸が存在することが明らかになった。この26アミノ酸は、GFP融合タンパク質を用いた解析により、葉緑体移行シグナルであることが示唆された。以上のことからGATは、前駆体GATとして翻訳された後に、葉緑体への輸送、自己触媒的な切断という複数の修飾を受けていると考えられる。
次にGATの酵素学的性質を解析したところ、乾燥強光時に蓄積するシトルリン、アルギニンによるフィードバック阻害は認められず、シロイヌナズナGATと異なり70℃という高い熱安定性を示した。これらの結果に基づいて、GATの乾燥強光時のシトルリン蓄積における役割を考察する。