日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ニンジン不定胚形成初期に発現するC-ESE1 (Carrot Early Somatic Embryogenesis 1) の発現抑制細胞における多糖成分の分泌
*高畑 公紀東 順一鎌田 博佐藤 文彦
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p. 225

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抄録
 体細胞から比較的容易に個体再生を行うことができるニンジン不定胚形成系は,2,4-D存在下で不定胚形成能を有するembryogenic cell (EC)を維持している。そして2,4-Dを除去することによってECから不定胚を誘導することができる。我々は2,4-D除去後に一過的に発現上昇する遺伝子としてC-ESE1 (Carrot Early Somatic Embryogenesis 1)を単離することに成功した。 C-ESE1は細胞表面上に存在している多糖類で構成された突起状構造形成に関わること,また細胞接着を通じて不定胚形成に関与することが示唆された。
 今回,C-ESE1が細胞接着において果たす役割を明らかにする事を目的に,形質転換ECの細胞壁成分の分析を試みた。特に培地中に分泌されている多糖類に注目し分析した。結果,C-ESE1発現抑制細胞(EC)においては培地中により多くの多糖類が分泌されていることが明らかとなった。構成する糖としてはフコース,アラビノース,キシロースを含む多糖類の分泌が増加していた。また分泌されている多糖類の平均分子量にも変化が見られ,コントロールECでは10万であるのに対して,形質転換ECでは4万から10万と幅広い分子量を示した。C-ESE1の発現抑制により培地中に分泌された糖成分より,アラビノガラクタンが細胞接着に関与している可能性について議論する。
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© 2005 日本植物生理学会
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