抄録
電子伝達タンパク質であるフェレドキシン(Fd)は葉緑体中に存在し様々なFd依存性酵素に電子伝達複合体を形成することで電子を供与している。本研究ではFdとFd依存性酵素の一つである亜硫酸還元酵素(SiR)との相互作用様式及び電子伝達メカニズムを解明することを目的とした。まず、FdのSiRとの相互作用領域を明らかにするために15NラベルされたFdを用いNMRスペクトルによる化学シフト摂動法の実験を行った。その結果、大きな化学シフトの変化を起こす、すなわち相互作用に関与していると考えられる領域が主に負電荷を持つ二箇所の領域において見られた。この領域の相互作用における重要性はFdの部位特異的変異体を用い確認した。次に、SiR側のFdとの相互作用領域と電子伝達メカニズムを解明するために、相互作用及び電子伝達に関与していると予測されるアミノ酸残基を改変した数種のSiRの部位特異的変異体を作製し、酵素活性及びNMR測定を行った。その結果、それぞれの実験において野生型と比較し興味深い変化を示す変異体が存在した。今回の実験で得られた最も重要な所見の一つはFdのSiRに対する相互作用領域がこれまでに報告されているNADP+還元酵素との相互作用領域と異なっていた点である。すなわちFdはそれぞれのFd依存性酵素によって相互作用領域を使い分けていることを示している。