日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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カルビン回路におけるFBPaseおよびSBPaseの光合成炭素代謝への影響
*長岡 美樹松川 郁子藪田 行哲田茂井 政宏重岡 成
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p. 334

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抄録
 我々はこれまでに、ラン藻フルクトース-1,6-/セドヘプツロース-1,7-ビスホスファターゼ (FBP/SBPase) を葉緑体に導入したタバコ (TpFS) は、RuBP増加に伴いRubiscoが活性化され、光合成 (CO2固定) 能が上昇し、生育が促進されることを明らかにした。本研究では、光合成能上昇および生育促進がFBPaseおよびSBPaseどちらの増加に起因するのかを明らかにするために、ラン藻FBPsae-II、Chlamydomonas W80 SBPaseをそれぞれ葉緑体に導入した形質転換タバコにおける光合成炭素代謝能を比較した。葉緑体内のFBPase活性が野生株の2.3倍に増加した株では、TpFSと同様に生育促進、光合成能の上昇が認められた。一方、FBPase活性が野生株の1.7倍の株ではこのような影響は見られなかったが、ソース葉でのデンプン量がわずかに増加していた。葉緑体内のSBPase活性が野生株の1.6倍以上に増加した株では、生育促進、光合成活性の上昇が認められた。しかし、SBPase活性が野生株の1.3倍の株ではこのような影響は認められなかった。以上の結果から、FBPaseおよびSBPaseいずれの酵素もカルビン回路のRuBP再生能力を決定する重要な因子であるが、SBPase活性の変動がRuBP再生のもっとも重要な律速因子であること、FBPaseはRuBP再生系とデンプン合成系への炭素分配を決定する重要な位置にあることが示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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