日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアの分子シャペロンHtpGとフィコビリソームリンカーポリペプチドとの特異的相互作用
*仲本 準佐藤 壮志
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p. 347

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抄録
我々は、シアノバクテリアSynechococcus sp. PCC 7942のhtpG遺伝子破壊株を構築し、変異株が著しく高温感受性であることから、この分子シャペロンが高温ストレス下における生存に必須の役割を果たすことを既に明らかにした。本研究では、HtpGの標的タンパク質を同定するために、フィコビリソームタンパク質に着目し解析を行なった。
通常温度で培養したhtpG遺伝子破壊株の表現型の一つはフィコシアニン量が減少することである。ショ糖密度勾配遠心分離法で単離したフィコビリソームを野生株のそれと比較すると、このフィコビリソームは「軽く」、またその構成ポリペプチドである30 kDaリンカー(linker)が著しく減少していた。これは、HtpGがストレス時のみならず平常時も機能し、フィコビリソーム超分子複合体の骨格をなすリンカーと相互作用して、フィコビリソームの構築に関与することを示唆するものである。In vitroの実験で、フィコビリソームからリンカーが解離すると、変性凝集しやすくなること、さらにHtpGがリンカーの変性凝集を阻止することを明らかにした。BSAや低分子量Hspはこの凝集阻止活性をもたなかった。HtpGはリンカーと特異的に相互作用して(フィコシアニンへテロ二量体が集合して形成された)ディスク同士が集合しロッドを構築するのを介助するのではないかと仮定して研究を進めている。
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© 2005 日本植物生理学会
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