日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

防御応答に際して発現誘導されるイネ受容体キナーゼ遺伝子の解析
*増田 紳吾光山 菜々子秋本 千春賀来 華江南 栄一渋谷 直人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 385

詳細
抄録
 病原菌の感染やエリシター処理によって誘導される防御応答において、抗菌タンパク質や抗菌性物質生合成系酵素などの直接抵抗性に関わる遺伝子に加え、シグナル伝達に関わる多くの遺伝子も発現が誘導されることが明らかになってきている。こうした知見をもとに、キチンオリゴ糖エリシター処理によってイネ培養細胞で発現が誘導される遺伝子をマイクロアレイにより解析したところ、細胞外ドメインにPRタンパク質の一種と相同性の高い構造をもつ受容体キナーゼをコードする遺伝子が見出された。本研究ではこの遺伝子の発現制御、コードするタンパク質の生化学的特性、防御応答における役割の解析を目的として実験を行った。
 本遺伝子はキチンオリゴ糖の構造・サイズに依存して発現が誘導された。また、タンパク合成阻害剤単独処理でも発現誘導が認められた。一方、タンパクキナーゼやホスファターゼ阻害剤、DPIなどでは影響を受けなかった。本遺伝子がコードするタンパク質はイネ培養細胞原形質膜に存在することが確認され、また、細胞内ドメインをGST融合体として発現させたものは強い自己リン酸化能を示した。キナーゼの活性中心と予測されるアミノ酸に変異を導入したものでは、自己リン酸化能はほとんど消失した。現在、RNAiによるノックダウンや過剰発現体の作出およびリガンドの探索を進めている。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top