日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細菌由来のリポ多糖(LPS)によるイネ培養細胞防御応答の誘導
*出崎 能丈Venkatesh Barakrishan露無 慎二山根 久和田部 茂賀来 華江南 栄一渋谷 直人
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p. 403

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抄録
近年、動植物の防御応答を誘導する共通的な機構として、微生物固有の分子パターン(Pathogen-Associated Molecular Pattern; PAMPs)認識に基づく防御応答が注目されている。細菌鞭毛成分のフラジェリンや糸状菌細胞壁を構成するキチン、βグルカン断片などは代表的なPAMPsと考えられ、その認識・応答機構に関する研究が進められている。
一方、動物の先天性免疫において細菌由来のPAMPsとしての役割が注目されているリポ多糖(LPS)に関しては、いくつかの双子葉植物において過敏感反応抑制その他の活性が報告されているものの、単子葉植物に対する作用に関しては報告が無い。本研究では植物病原菌を含む7種のグラム陰性細菌由来のLPSのイネ培養細胞に対する作用を調べ、これらがいずれも活性酸素応答や防御応答関連遺伝子の発現を誘導することを見出した。また、これらの防御応答はプログラム細胞死と考えられる顕著な細胞死を伴うことも観察された。これらの活性はLPSの糖部分を過ヨウ素酸酸化により分解すると完全に失われることから、活性にはLipidA以外の糖鎖部分が重要な寄与をしていることが示された。以上の結果はLPSが細胞死を伴う防御応答を誘導するgeneral elicitorとしての性格をもつことを示すものである。
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© 2005 日本植物生理学会
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