日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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FUS3による種子貯蔵タンパク質遺伝子発現制御機構の解析
*山本(豊田) 章子加賀谷 安章臼井 治子豊嶋 涼子伴 敦史堤田 久美子加賀谷 道子服部 束穂
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p. 424

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抄録
FUS3は種子成熟過程を制御する主要な転写制御因子のひとつであり、種子貯蔵タンパク質等の種子特異的遺伝子の発現を調節している。FUS3による種子成熟過程の制御機構を明らかにするため、FUS3を誘導的に発現する形質転換植物を用いたマイクロアレイ解析を行った。FUS3の制御を受ける遺伝子はそのABA依存性や誘導キネティクスから異なる複数のグループに分類された。貯蔵タンパク質やオレオシン遺伝子ファミリーの個々のメンバーは、いくつかの異なるグループに属していた。このことは、これらの遺伝子のFUS3による制御にそれぞれ異なるメカニズムが働いていることを示唆する。例えば、12SグロブリンをコードするCRCのFUS3によるABA依存性の誘導は、他の12Sグロブリン遺伝子や2SアルブミンをコードするAt2S3のそれと比べて顕著な遅れがみられることからCRCの誘導には中間転写因子が介在すると予想される。マイクロアレイデータを検索したところ、FUS3による誘導を受ける転写制御因子が18個同定された。これらのうち、FUS3とABAによって特に顕著な発現の増大を示す転写因子に注目して、T87細胞を用いた共発現実験を行った。その結果、bZIP67およびbZIP12がCRCプロモーターを顕著に活性化することがわかった。両転写因子はFUS3によるCRCの誘導に関与する中間転写因子の有力な候補であると考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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