日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアの遺伝子発現における概日振幅波形決定のメカニズム
*陸田 径典村山 頼子岩崎 秀雄西村 幹夫近藤 孝男
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p. 440

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抄録
概日時計を持つシアノバクテリア、Synechococcus elongatus PCC 7942は時計中枢遺伝子としてkaiABCを持つ。これまでの研究からkaiABCは自身の転写フィードバックループを介して、シアノバクテリアの全遺伝子に概日振動をあたえると推測されており、概日振動を示さない遺伝子は未だ見つかっていない。概日振動を示す遺伝子発現の波形は主に2種類の形に分類される。一つは、主観的昼と主観的夜で明確な発現のオン・オフを繰り返す高振幅型、一つは一定の発現レベルの上に緩やかな遺伝子発現振幅を示す低振幅型である。これらのプロモーター領域には振幅波形を決めるための特定のシス配列は存在しないため、転写の基本単位によって制御されることが示唆された。そこで現在、それぞれのプロモーター上で高振幅型と低振幅型をきめる領域を明らかにするため、両者のハイブリッドプロモーターを用いて解析を行っている。一方、マイクロアレイ実験の解析結果から、両者の遺伝子発現には明らかに異なる制御機構が存在することが分かり、両者の遺伝子群が遺伝子発現の異なる過程で発現振幅を獲得しているとこが示唆された。そこでこれらの情報をもとに、シアノバクテリアの概日時計の出力系における新たなモデルを提唱する。
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© 2005 日本植物生理学会
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