日本臨床外科学会雑誌
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症例
総胆管に穿破し,閉塞性黄疸をきたした膵IPMNの1例
青松 直撥山田 靖哉天野 良亮仲田 文造大平 雅一平川 弘聖
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2011 年 72 巻 2 号 p. 483-489

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抄録

症例は78歳,女性.平成15年4月,膵頭部に3cm大の腫瘤像を認め分枝型IPMNと診断され,以後外来で経過観察されていた.平成18年5月,下腹部痛,微熱が出現し,当院に入院となった.CT上,腫瘍の増大傾向を認め,嚢胞内に新たに充実性病変を認めた.ERCP検査にて主膵管は数珠状に拡張し,嚢胞内に充実性成分と思われる欠損像を認めた.膵管内超音波検査にて嚢胞内に充実性の腫瘤を認め,生検ではIPMN with moderate dysplasiaであった.ERCP5日後,閉塞性黄疸を認めたためERBDチューブを留置した.減黄後,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後の標本検索では,嚢胞と総胆管に直径約1cmの瘻孔を認めた.病理検査上,瘻孔部に腫瘍細胞は認めなかった.IPMNはときに隣接臓器へ穿破することが知られている.膵嚢胞総胆管瘻を形成し,ERCP後に閉塞性黄疸を発症した膵IPMNの1例を経験したので報告する.

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