日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クロロフィル生合成制御におけるシロイヌナズナ概日時計関連因子の役割
*加藤 貴比古藤森 徹山篠 貴史水野 猛
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p. 445

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抄録
黄化植物からの緑化過程は光形態形成の一環として制御されている。特にクロロフィル合成過程には光依存的に酸化ストレスを生じる中間体が含まれるので、その合成は巧妙に制御されているはずである。さもなければ光形態形成時に致死的な傷害が生じかねない。しかしそのような観点からのクロロフィル合成制御の分子機構はあまり理解されていない。最近これと関連して、フィトクロム結合性のbHLH型転写因子PIF1が黄化芽生えにおけるクロロフィル合成の負の制御因子であることがシロイヌナズナにおいて報告された。我々はこの報告に強い興味を持った。なぜならば、PIF1は我々が概日時計構成因子PRR1/TOC1と相互作用することを報告したbHLH因子群の一つであるPIL5と同一だからである。光形態形成における胚軸伸長が概日時計によって制御されていることや、クロロフィル結合タンパク(CAB)の発現が概日時計により制御されていることはよく知られた事実である。これらを総合して、我々はクロロフィル合成自体も概日リズム(時計関連因子)により制御されている可能性があると推定した。この可能性を検証するために、緑化過程で光感受性を示すpil5変異体を対照として、各種の時計関連因子(TOC1やCCA1など)の変異体や過剰発現体に関してクロロフィル合成制御の観点から解析することで上記の推定を強く支持する結果を得たので報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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