抄録
筆者らの研究室では、クローンの塩基配列をベースとしたオリゴマイクロアレイ(21915クローン)を構築して様々な実験を進めている。今回は、カルス形成・再分化時の遺伝子発現データの相互関係を理解するために発現遺伝子の予備的なクラスター分析を試みた。
条件を替えて実施した34回のマイクロアレイ実験で、クローンごとの発現パターンを記録した。発現パターンの類似性に基づき、K-meansクラスター化法によってクローンを100個のグループに分類した。それぞれのグループには最低5、最大384のクローンが所属する結果を得た。
このクラスタリング結果と、完全長cDNAデータベースの一部として公開されている各種アノテーション情報、遺伝子アノテーションの統合を試みる際の事実上の世界標準となっているGene Ontologyデータなどをまとめてリレーショナルデータベースを構築した。このデータベースを基盤に、個々のグループに属する遺伝子のカルス形成・再分化への関与の可能性を探った。