日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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PAP1形質転換培養細胞でのトランスクリプトーム、メタボローム解析
*竹田 みぎわ佐々木 亮介森下 宜彦櫻井 望峠 隆之鈴木 秀幸斉藤 和季柴田 大輔
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p. 481

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抄録
PAP1はシロイヌナズナにおいてアントシアニン生合成関連遺伝子の発現誘導に関わるMyb様転写因子をコードする。現在までにPAP1過剰発現シロイヌナズナ植物体を用いたトランスクリプトーム、メタボローム解析についての報告はあるが、本研究ではアントシアニン蓄積をさらに解析するため、シロイヌナズナ培養細胞株を用いた解析を行った。PAP1を過剰発現させたT87培養細胞を用いてトランスクリプトームおよびメタボローム解析を行い、これらのデータを統合して、PAP1による遺伝子発現調節や代謝産物ネットワークを解析するとともに、PAP1過剰発現植物体との比較を行った。T87培養細胞の野生型およびPAP1過剰発現細胞系統を用いて、液クロ・質量分析計(LC/MS)およびガスクロ・質量分析計(GC/TOF/MS)による代謝産物の網羅的解析を行った。PAP1過剰発現培養細胞では、野生型ではほとんど検出されないcyanidin配糖体が蓄積しており、その他の代謝系の物質には目立った変化は見られなかった。22K Agilentアレイを用いたトランスクリプトーム解析では、アントシアニン生合成経路の下流にある遺伝子および、修飾転移酵素などいくつかの遺伝子の発現が増加していた。以上の結果から、T87培養細胞を用いた解析では、過剰発現植物体には見られなかった代謝産物、遺伝子発現が確認された。
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© 2005 日本植物生理学会
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