抄録
葉緑体形質転換技術は、組み換え蛋白質の高発現、組み換え遺伝子の封じ込めなどの特徴を持ち、基礎研究ばかりでなく、バイオテクノロジーへの応用においても大いに注目されている。葉緑体局在型グルタミン合成酵素(GS2)は、光呼吸代謝系におけるアンモニア同化を担っている。実際、GS2を過剰発現させることで、強光に対する耐性が強化されることが報告されている(Kozaki and Takeba, 1996, Nature)。一方、従来の核の形質転換によるGS2過剰発現体では、GS2発現レベルは野生型の2倍程度の増大にとどまっていた。より高レベルのGS2発現を目指して、我々はイネGS2遺伝子を葉緑体ゲノムに導入した葉緑体形質転換タバコを作出した。この葉緑体形質転換体では、核の形質転換体を遙かにしのぐGS2蛋白質の蓄積が見られ、葉のGS2蛋白質レベルは野生型の30~40倍に達していた。また、葉でのGS活性も野生型タバコの5~9倍に増大していた。さらに、ゲル濾過クロマトグラフィーとNative-PAGE、および活性染色を用いて、葉緑体形質転換体におけるGS2複合体の形成について検討した。その結果、大量発現させたGS2蛋白質の殆どは活性型の8量体構造をとっていることが確認された。現在、GS大量発現の代謝パターンへの影響を調査している。