抄録
アクアポリンは植物体内の水輸送に重要な役割を果たす分子として注目されている。植物は30種類以上のアクアポリンを持つことがすでにシロイヌナズナやトウモロコシで明らかにされているが、イネのアクアポリンの全容は解明されていない。そこで本研究では、イネの全アクアポリン遺伝子を明らかするとともに、その発現及び機能解析を行った。まずイネゲノム情報を利用してイネアクアポリン遺伝子32種類を同定した。これら遺伝子の推定アミノ酸配列をもとにクラスター解析を行ったところ、イネアクアポリンは4つのサブファミリーに分類され、11個の細胞膜型(PIPs)、10個の液胞膜型(TIPs)アクアポリンの他、機能未知のアクアポリンNIPsとSIPsがそれぞれ9個と2個であった。次にこれらのアクアポリン遺伝子発現を半定量的RT-PCR法にて解析したところ、それぞれのアクアポリンは特徴的な発現パターンを示し、葉身、根、葯等で一様に発現しているものや、器官特異的に発現しているものが存在した。また発育ステージや、明暗日周により発現量の変動するアクアポリンも存在した。さらに低温ストレスを受けた幼苗の根では多くのアクアポリン遺伝子発現量が減少したが、減少程度はアクアポリンの種類によって異なった。現在、個々のアクアポリンの水透過活性についても検討を進めており、これらの結果から、イネにおけるアクアポリン機能を考察したい。