日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ホウライシダフィトクロム3の情報伝達へのリン酸化反応の関与
*河合-豊岡 博子鐘ヶ江 健和田 正三
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p. 571

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抄録
ホウライシダフィトクロム3(phy3)は、フィトクロムとフォトトロピンの構造を併せ持つキメラ光受容体であり、赤色光依存の光屈性・葉緑体光定位運動に機能する。我々は、phy3のフォトトロピン相同領域に存在するセリン/スレオニンキナーゼドメインがphy3の情報伝達に寄与するか否かを調べるため、生化学的・生理学的解析を行った。まず、phy3のキナーゼドメインのリン酸化能を検証した。その結果、大腸菌で発現させたキナーゼドメインとGSTの融合タンパク質は自己リン酸化能を持つことが分かった。また、セリン/スレオニンキナーゼのサブドメインIVに相当する部位に存在する1183番目のヒスチジンをロイシンに置換した点突然変異(H1183L)を導入すると、自己リン酸化能が失われた。この点突然変異を導入したPHY3(H1183L)とGFPの融合遺伝子をホウライシダPHY3欠損突然変異株の前葉体細胞に導入し、GFP蛍光が検出された細胞での赤色光依存の葉緑体集合反応の相補実験を行った。その結果、野生型PHY3-GFP融合遺伝子を導入した場合は反応が相補されるのに対し、PHY3(H1183L)-GFP融合遺伝子を用いた場合は反応が相補されなかった。したがって、phy3が機能する赤色光依存の葉緑体集合反応には、セリン/スレオニンキナーゼドメインによるリン酸化反応が関与することが示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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