日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおける新規熱ショック転写因子を介した強光ストレス応答機構の解析
*西澤 彩子漆畑 正俊吉田 絵梨子薮田 行哲重岡 成
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p. 614

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抄録
 これまでに、強光および酸化的ストレス応答のシグナル伝達機構を明らかにすることを目的として、サブトラクティブハイブリダイゼーション法により強光応答性の遺伝子群を同定した。これらの中には、新規の熱ショック転写因子(put. HSF)が含まれており、それは強光ストレスだけでなく種々のストレスに対しても迅速に応答することが明らかとなった。このことから、put. HSFは種々のストレスのシグナル伝達経路で機能することが示唆された。そこで本研究では、強光ストレス応答のシグナル伝達経路に関与するput. HSFの役割を明らかにすることを目的とした。
 CaMV35Sプロモーター制御下でput. HSFを過剰発現させる形質転換株を作出し、put. HSFの制御下に存在する遺伝子を同定した。その結果、HSPだけでなく適合溶質の合成に関与する酵素などもput. HSF過剰発現株で高発現していることが明らかとなった。また、これらの下流遺伝子の発現はput. HSFの発現レベルの増加に応じて誘導され、強光ストレスに対してもput. HSFと同様に迅速な応答性を示すことが明らかとなった。このことから、これらの遺伝子はput. HSFの直接的な標的遺伝子であることが考えられた。そこで、現在これら下流遺伝子のプロモーター領域に存在するput. HSFの認識配列の決定を試みている。さらに、put. HSF過剰発現株でのマイクロアレイによる下流遺伝子群の同定についても報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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