日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネブラシノステロイド生合成遺伝子の発現に対する青色光の影響
*福田 泰規澤田 義昭岩崎 俊介
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p. 668

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抄録
 ブラシノステロイド(BR)の特異的な生理作用としてイネの葉身屈曲が知られている。イネの葉身屈曲は、葉身と葉鞘の接点である葉身基部の向軸側の細胞がBRに特異的に反応して伸長する結果起こる。一方、イネ黄化芽ばえに連続青色光を照射すると葉身屈曲が誘導され、また青色光照射は内生BR量を増加させるという報告もあることから、我々は青色光が内生BRの合成を促進する結果、葉身屈曲を引き起こすと考えた。そこで本研究ではこの可能性を確かめるために、光感受部位であり、BR感受部位でもあるイネ第二葉葉身基部におけるBR生合成遺伝子発現の経時的変化をRT-PCRによって調べた。その結果、いずれの遺伝子も青色光照射1時間で発現量が増加し、その後、12~24時間目あたりまではほぼ一定レベルで推移した。中でも OsDWF4D11OsDWARFの増加はそれぞれ9倍、10倍、5倍と顕著であった。また、イネの葉身屈曲に抑制的に働く赤色光照射は逆に発現量増加を暗黒コントロール以下のレベルに抑え、特にその効果はOsDWF4 D11において顕著であった。以上、青色光がBR生合成遺伝子の発現に促進的に作用し、赤色光が抑制的に作用するという今回の結果は、我々の仮説を支持するものである。
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© 2005 日本植物生理学会
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