オレオサイエンス
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特集総説論文
NMRによる脂質膜中の薬物の「運動」の解析
吉井 範行岡村 恵美子
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2011 年 11 巻 6 号 p. 213-220

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抄録
生体膜を構成する分子や膜のなかの薬物の「運動性」は, 薬物の膜輸送機構を明らかにするための重要な知見となる。膜は生理的条件下で常に揺らいでおり, 膜のなかの薬物の運動を多かれ少なかれ支配している。筆者らは, 高分解能溶液NMRとパルス磁場勾配 (PFG) 法を組み合わせて, 膜中の薬物や脂質分子の運動を沈in situ吻で観測し, 定量化する方法を独自に開発した。生体膜モデルとして卵黄レシチンの一枚膜ベシクル (large unilamellar vesicle, LUV;直径100nm) を用いて, 膜のなかの薬物の拡散運動や膜への結合と解離のキネティクス, 膜への結合量を明らかにした。また, 通常の一次元NMR測定とPFGNMR測定を使い分けることにより, さまざまな速さの結合・解離運動の測定が可能となることを見出した。なお, ここではモデル薬物として5-フルオロウラシルとフッ素化ビスフェノールAを用いた。
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© 2011 公益社団法人 日本油化学会
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