日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細胞数の増加によって大型葉を形成するシロイヌナズナgrandifolia 変異株の解析
*堀口 吾朗塚谷 裕一
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p. 686

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抄録
 植物の葉のサイズ決定機構は、形の決定機構と並び形態形成上の重要なプロセスであるが、その詳細はほとんど不明である。我々は、葉のサイズ制御機構を体系的に理解するため、葉のサイズに異常を示すシロイヌナズナ突然変異株を大量に収集し、その解析を進めている。そのうち、#488, #675, #9c系統は、野生株よりも大型の葉を形成する、いずれも半優性の表現型を示す突然変異株である。今回、#488 系統をgrandifolia1 (gra1) と名付け、その詳細な解剖学的解析を行った。gra1 では表皮直下の柵状組織細胞数が野生株の2倍以上に増加する一方、そのサイズは、並皮投影面積で野生株の約70 % へ減少していた。従って、gra1における葉身の面積の増加は、過剰な細胞増殖に由来することが明らかになった。葉は葉原基における一定期間の細胞増殖を経て形成されることから、細胞増殖の速度と期間が最終的な葉の細胞数を決定する主要因である。そこでgra1がこれらの過程に与える影響を検討するため、葉原基の発達に伴う細胞数の変化を経時的に測定した。その結果gra1では、少なくとも細胞増殖期間が野生株よりも延長されていることが明らかになった。従ってGRA1 は、葉の細胞増殖期間の制御に重要な役割を果たすことが示唆される。同様の解析を、#675 および9c 系統についても進めており、それらの結果についても合わせて報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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