日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコ種間雑種細胞の致死はMAPKシグナル伝達系の支配を受ける
野木 貴祐上田 純子三坂 裕子井上 雅好*三野 真布
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p. 700

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抄録
雑種致死をおこすタバコ種間F1雑種(Nicotiana gossei x N. tabacum)の胚軸由来培養細胞GTH4は、37℃で正常に増殖するが26℃では急速に致死する。この細胞死はセリン/スレオニンフォスファターゼの阻害剤であるオカダ酸、カリクリンA処理で促進し、プロテインキナーゼの阻害剤であるスタウロスポリン処理で抑制されることから、タンパク質のリン酸化反応の介在が示唆された。更に、タバコSIPKおよびリン酸化型MAPKの特異的抗体を用いた実験から、細胞を37℃から26℃に移して30~45分で主としてSIPKのリン酸化が一過的におこることを確認した。MAPKキナーゼの特異的阻害剤であるU0126(1,4-diamino-2,3-dicyano-1,4-bis[2-aminophenylthio]butadiene)を細胞に処理するとSIPKのリン酸化の抑制・遅延と共に細胞死の進行も抑制された。GTH4細胞は過酸化水素の一過的上昇の後に致死が開始することなどの実験結果から、過酸化水素が細胞死のシグナルとして働くことが分かっている。U0126はこの過酸化水素の一過的上昇をも抑制することから、MAPK(SIPK)のリン酸化とオキシダティブバーストの介在により雑種細胞の致死が進行することが明らかとなった。
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© 2005 日本植物生理学会
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