抄録
パープルホスファターゼ(purple acid phosphatase)は、プロテインホスファターゼなどが含まれるホスフォエステラーゼファミリーに属し、リン酸の取り込みや輸送をはじめとする様々な役割が推察されている。リン酸欠乏下では誘導されず、細胞壁構築に関わっている、タバコ培養細胞パープルホスファターゼ(NtPAP12)の性質と機能について解析した。
このホスファターゼは、Ca2+やMg2+によって活性化されず、アミノ酸配列に基づく相同性からカルシニューリン(セリン/スレオニンホスファターゼ)に近いが、オカダ酸、ミクロシスチンLRや酒石酸によって活性阻害を受けなかった。バナジン酸やモリブデン酸によって強く阻害されるとともに、ペプチドアナログによる感受性からチロシンホスファターゼであると推察される。反応効率も、ホスホセリンに比べ、ホスホチロシンが高かった。
パープルホスファターゼの分泌と細胞壁の再生はBrefeldin Aにより抑制されるが、Brefeldin A存在下、ホスファターゼを添加することにより細胞壁 β-グルカンの蓄積が活性化された。以上の結果から、パープルホスファターゼは細胞膜上の β-グルカン合成酵素をアポプラストで活性化する可能性が示唆される。