日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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c-myb様転写因子の翻訳後調節による細胞周期G2/M期の転写制御機構
*荒木 智史伊藤 正樹町田 泰則
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p. 787

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抄録
植物の細胞周期においてサイクリンBやNACK1遺伝子等のG2/M期特異的な転写に必要かつ十分なシス配列としてMSAエレメントが知られている。MSA エレメントに結合する転写活性化因子としてc-myb様のDNA結合領域をもつタバコのNtmybA1とNtmybA2を同定している。NtmybA1、NtmybA2の転写活性化能力は細胞周期の進行に依存して変化することを見出したので、その調節機構の解析を行った。一過的発現系において、これらのmybはサイクリンBとの共発現によって転写活性化能力が上昇し、さらにキナーゼ不活性型CDKAと共発現することによって、この上昇は抑制された。また、CDKによるリン酸化が予測されるアミノ酸に変異を導入したNtmybA2ではサイクリンBと共発現を行っても転写活性化能力の上昇は認められなかった。NtmybA2タンパク質はM期のBY2細胞より調製したCDKによってin vitroでリン酸化を受け、CDKリン酸化部位に変異をもつNtmybA2タンパク質ではリン酸化の程度が減少した。以上よりNtmybA2自身がサイクリンB/CDK複合体によるリン酸化の直接の基質であり、細胞周期中のG2/M期に特異的にリン酸化を受け、転写活性化能力の増大がもたらされると考えられた。このようなNtmybA2の翻訳後制御が植物のG2/M期特異的転写を実現する要因であると考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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