抄録
培養7日目のBY-2細胞を植え継ぎ,再び細胞周期に移行させる実験系を用いて,サイクリン依存性キナーゼCDKAの活性制御機構に関する解析を行った.このとき,p13suc1により精製したサイクリン/CDKA複合体は,ヒストンH1およびタバコRbに対してキナーゼ活性を示し,その活性はG1/S移行期に上昇した.Western解析を行ったところ,CDKAの蓄積量は時間と伴に増加し,このキナーゼ活性の上昇はCDKA蓄積量の増加によるものと考えられた.一方で,CDKAのホモログである動物Cdc2の15番目のチロシン(Y15),161番目のスレオニン(T161)に対するリン酸化特異抗体を用いた結果,Y15のリン酸化は検出されなかったのに対して,T161のリン酸化は細胞周期の進行につれて増加した.したがってCAK(CDK activating kinase)が,CDKAのT161をリン酸化することでキナーゼ活性を調節することが示唆された.そこで, T161をアラニンに置換したCDKAにGFPを融合してBY-2細胞で誘導発現させたところ,細胞周期の進行には影響しなかったが,GFP抗体を用いた免疫沈降により変異CDKA活性の顕著な低下がみられた.現在T161のリン酸化がCDKAとサイクリンとの結合の安定性に関与すると想定し,新規の変異CDKAを誘導発現するBY-2細胞の作製をおこなっている.