抄録
道管・仮道管を構成する道管要素は,分化の最終段階で起こる液胞崩壊型のプログラム細胞死を経て中空の死細胞へと分化する.しかしながら,道管要素細胞が自らの液胞をどのようにして崩壊させるかという仕組みについては不明である.そこで,道管要素分化に伴う液胞膜のダイナミクスの分子機構を解明するため,液胞膜の動態の制御に関与する因子として膜融合に関連する因子の一つである Rab GTPase に着目し,道管要素形成に関与する Rab GTPase の探索を試みた.シロイヌナズナ in vitro 道管分化誘導系を用いた大規模なジーンチップ解析と RT-PCR による発現解析の結果,複数の Rab GTPase 遺伝子の発現が分化の様々なステージで変動していることが明らかとなった.そこで,これらの分化特異的に発現が変動する Rab GTPase 遺伝子群のプロモーター領域を単離し,GUS 遺伝子をマーカーとしてプロモーター・レポーターアッセイを行ったところ,少なくとも,2 種類の Rab GTPase 遺伝子(AtRab75, At1g07410)が葉や胚軸,花弁等の維管束に発現しており,道管要素分化と Rab GTPase の関連性が示唆された.現在,残りの Rab GTPase 遺伝子に関しても発現解析を進めており,これらの結果を合わせて報告する予定である.