日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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新規スギMADS-box遺伝子の単離と機能解析
*栗田 学大宮 泰徳谷口 亨近藤 禎二
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p. 840

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抄録
スギ(Cryptomeria japonica D. Don)は、わが国の主要な造林樹種であり、内装材や構造材として広く利用されてきた。遺伝子組換え技術による特定形質の付与は、社会からより求められるスギ品種の作出を実現する可能性を有する。しかし組換え体の実用化にあたり、導入遺伝子の同種・近縁の野生植物への拡散が懸念されている。その媒体となるのが花粉であるが、花粉形成を阻害できればそのリスクが軽減されるとともに、花粉症問題の緩和にもつながる。このような効果をもつ組換え無花粉スギの作出を見据えて、スギの花芽形成に関わる遺伝子の単離を行い、花芽形成の分子メカニズムの解明に資することとした。
 花芽形成遺伝子としてMADS-box遺伝子が知られている。現在スギからは4種類のMADS-box遺伝子が単離され、その発現時期や局在が示されている。今回、スギ花芽形成に関わるMADS-box遺伝子のさらなる単離を行った。スギ雄花total RNAから合成したcDNAをテンプレートに用い、PCR法、3’RACE法により6種類の新規MADS-box遺伝子のDNA断片を獲得した。推測されるアミノ酸配列を用い、相同性検索を行った結果、タバコのB機能遺伝子GLOBOSAと高い相同性を示すもの(M8)が含まれていた。さらにこれら遺伝子の発現組織を調べるためRT-PCRを行った。その結果、M8遺伝子は花芽特異的に強く発現していることが明らかになった。この結果は、M8遺伝子が花芽形成に機能している可能性を示唆している。
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© 2005 日本植物生理学会
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