抄録
スギ(Cryptomeria japonica D. Don)の木部にはノルリグナンと総称されるC6-C5-C6構造をもつフェノール性二次代謝成分が含まれる。ノルリグナンは木部での生体防御や心材色の生成に関与していると推定されているが、その生合成酵素や遺伝子は単離されておらず、生合成経路も一部分しか実証されていない。昨年度年会において、スギ丸太を伐採し屋内に静置すると、伐採時にはノルリグナンが存在しない辺材中に、乾燥過程においてノルリグナンが生成することを報告した。この実験系を用いてノルリグナン生合成系酵素遺伝子を単離するため、ノルリグナンを含まない辺材と乾燥が進んでノルリグナンを生成している辺材からそれぞれRNAを調製し、PCRサブトラクション法によって差次的発現遺伝子ライブラリーを作製した。そのライブラリーから1,000個以上のcDNAクローンについて塩基配列を決定し、解析を行った。本年会では、ノルリグナン生成誘導系において優勢に発現している遺伝子群の特徴について報告する。