抄録
ルチンは植物に広く分布するフラボノイドで、ソバは子葉・葉などにルチンを高濃度に蓄積することが知られている。ルチンは、アグリコンであるケルセチンへのグルコース転移反応と、その後のラムノース転移反応により合成されると考えられている。3GTはそのグルコース転移反応を触媒する酵素である。我々は、ソバにおけるルチンの生理機能を解明するため、ソバの子葉の3GTの性質と、発芽過程の子葉におけるルチン含量と3GT活性の経時変化を明らかにした。3GTは分子量58.6Kdaのモノマーで、ケルセチン(Km~27μM)とUDP-グルコース(Km~1.04mM)に高い親和性を持っていた。子葉における乾物重あたりの3GT活性は、乾物重あたりのルチン含量の増加にともない上昇した。ルチン含量が最大となった後、3GT活性は急激に減少した。一方、発芽過程の子葉におけるケルセチンとイソクエルシトリン(3GT反応産物)の蓄積はほとんど無かった。この結果から、ソバ子葉で作られたイソクエルシトリンは、主にルチン合成に使われていると考えられる。