抄録
シロイヌナズナのシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)遺伝子の発現は、メチオニンの代謝産物である S -アデノシルメチオニン(SAM)に応答してmRNA安定性の段階で負に制御される。この制御には自分自身の第1エキソンにコードされる新生ポリペプチドが関与している。最近、試験管内翻訳系により、RNA分解に先立ってSAMに応答した翻訳の停止が起こることが示された。
本研究では試験管内翻訳系により、翻訳停止と共役した CGS mRNA分解機構の解明を目指した。この制御においては、SAM添加に応答して5’末端の欠けたRNA分解中間体が形成される。プライマー伸長法による解析により、このRNA分解中間体は複数種類検出され、それぞれの5’末端位置は約30塩基ずつずれていることがわかった。リボソームはmRNAを約30塩基覆うことから、 CGS mRNAの制御では、翻訳停止したリボソームの後に複数個のリボソームが連なって停止し、それぞれの5’末端位置でmRNAが分解されるという作業仮説を立てた。この仮説と合致して、翻訳開始阻害剤等によりRNAに呼び込まれるリボソームの数を制御すると、それに伴って検出される分解中間体の種類も減少した。また、ショ糖密度勾配遠心法により分画したポリソーム画分において分解中間体を解析したところ、リボソームの数が多い画分ほど多くの種類の分解中間体が検出された。