日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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日本植物生理学会論文賞
TFL2による花成およびヘテロクロマチン制御の研究
小竹 敬久高田 忍中東 憲治大藤 雅章*後藤 弘爾
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p. A4

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抄録
 我々は日長感受性が無くなり早咲きになる等、多面的な表現型を示すtfl2突然変異体の解析を行い、TFL2遺伝子が花成の経路においてFTを特異的に抑制していることを明らかにした。また遺伝子クローニングにより、TFL2はアラビドプシスゲノム上で唯一のHeterochromatin Protein1 (HP1)ホモログであることを示した。また、TFL2FT以外にもいくつかの花のホメオティック遺伝子を抑制していることを明らかにした。
 その後、TFL2がHP1とホモロジーを持つことに基づいて、アラビドプシスにおけるヘテロクロマチン制御への関与を調べた。しかしながら、染色体上の位置による遺伝子発現のプロファイルの変化や、ヘテロクロマチン領域にあるトランスポゾンの活性化はtfl2で観察されなかった。またTFL2タンパク質の局在をみたがヘテロクロマチン領域とは共局在していなかった。以上の様に、TFL2がアラビドプシスのヘテロクロマチン制御に関与していることを示す積極的な証拠は得られなかった。
 次にTFL2によるFTの発現抑制機構について解析を行った。その結果、FTは長日刺激によって葉の先端部の維管束でのみ発現するが、tfl2では日長によらず葉全域の維管束で発現することが明らかとなった。また、TFL2によるFTの発現抑制はCOなどの活性化因子により競合的に解除されることも分かった。
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© 2005 日本植物生理学会
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