抄録
ソース器官から転流されたショ糖は、種子においてsucrose synthaseにより分解され貯蔵物質の生合成に供される。ショ糖の分解/合成反応はsucrose synthaseのリン酸化/脱リン酸化により制御されることが知られている。SPKはイネ未熟種子に特異的なカルシウム依存性プロティンキナーゼである。アンチセンス遺伝子によりこの遺伝子発現を抑制した形質転換体では、未熟種子の貯蔵デンプン生合成が阻害され水モミとなることから、SPKはシンクにおけるショ糖代謝に関わっていることが示唆される。in vitroリン酸化実験ではSPKはsucrose synthaseの活性部位のセリン残基をリン酸化することから、SPKはsucrose synthaseの活性制御因子であることが明らかになった。ところで、SPK遺伝子は第6染色体にコードされている5’非翻訳領域と、第10染色体に座乗するコード領域からなる。両者は別々に転写され、一部はtrans-スプライシングにより結合される。未熟種子では第10染色体の転写産物が圧倒的に多く、 trans-スプライシング産物は検出できなかった。また、in vitro解析において両者が結合したmRNAからはタンパク質の翻訳産物が得られなかったため、この5’非翻訳領域は何らかの翻訳制御に働いている可能性が示唆された。