抄録
根粒菌はマメの根より浸出するフラボノイドを認識するとNod factor (リポキチンオリゴ糖)を分泌する。Nod ファクターは根粒形成と菌感染の正の制御因子として働き,根に根粒原基を誘導するとともに,前感染糸の形成を介して根粒菌の組織内侵入を助ける。当研究者らは,マメのモデル植物であるミヤコグサにEMS 処理を行い32系統の共生変異体を単離し,それらの遺伝解析から根粒形成初期に関わる12遺伝子座を特定した。得られた根粒非着生変異体を中心に菌根菌(Arbuscular Mycorrhizal Fungi)を感染させたところ, sym71 (castor), sym72, sym82, sym84, sym85, sym86 (pollux), sym87変異体では,菌根菌(Arbuscular Mycorrhizal Fungi)の感染も破綻しており,菌根共生と根粒共生の双方に必要な少なくとも7遺伝子座よりなるcommon signaling pathway の存在が示唆された。根にNod ファクターを処理すると,根毛細胞の核周辺部でカルシウムオシレーションが発生する。共生変異体におけるカルシウムオシレーションの有無を調べることによって,common signaling pathway上の7遺伝子座はその上流と下流とに分けることができる。