日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物と菌根菌の共生および窒素固定共生に必須な受容体様カイネースSYMRKの解析
*吉田 聡子Martin Parniske
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p. S17

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抄録
SYMRK (Symbiosis receptor kinase) は植物とアーバスキュラー菌根菌および根粒菌との共生に必須な遺伝子としてマメ科植物ミヤコグサから単離された。symrk変異体では、Ca2+スパイキングなどの共生菌に対する初期応答が見られなくなることから、SYMRKは両共生において比較的初期の段階で働く遺伝子であると考えられる。SYMRKは、LRR型の受容体様カイネースをコードしており、共生応答におけるシグナル伝達因子であると予想された。
ミヤコグサおよびエンドウのsymrk変異体の点変異が保存されたカイネース領域に集中している事から、カイネースの機能はSYMRKの生理学的機能に重要であると考えられた。そこで、我々は、野生型およびsymrk変異体と同じ点変異を導入したSYMRKの細胞内領域タンパク質を、大腸菌を用いた大量発現により作成し、活性測定をおこなった。予想通り、野生型のSYMRK細胞内領域は活性型カイネースをコードしていたが、変異型タンパク質は不活性型であった。この結果から、SYMRKのカイネースの活性化が共生シグナルの伝達に重要であると考え、カイネース活性化機構を詳細に解析した。その結果、SYMRK自身のリン酸化がカイネース活性化に重要であることを明らかにし、また活性化に必須なリン酸化部位を同定した。本発表では、これらの結果を踏まえて、共生のシグナル伝達系におけるSYMRKの役割を議論する
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© 2005 日本植物生理学会
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