日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イオンビームの植物科学への応用と産業化-特徴と研究成果
*岡村 正愛
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p. S83

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抄録
生物は天空からの宇宙線や地面からのガンマ線により絶え間なく照射を受け突然変異を起こし現在の多様性をもたらした。突然変異育種によりこれまでに育成された品種の80%がガンマ線によるものである。ガンマ線は線エネルギー付与が低いため目的とする突然変異体を得ても目的形質以外の変異を併発することが多いという問題点があった。エネルギーの高いイオンビームならば不要変異を併発しない優良変異体を効率よく得る可能性が高い。原研では世界に先駆けて材料・バイオ専用のイオンビーム照射施設を開発した。しかし植物組織内への到達深度は1mm程度であり実用化のためにはイオンが照射された細胞から植物体を得て優良個体を選抜する効率の良い技術の開発が課題であった。今回カーネーション品種「ビタル」の微細組織片を材料にイオン照射された細胞から高頻度で植物体を得る「材料前処理技術」および不要変異を誘起しやすいカルス形成を経ずに植物体を再生する「直接再生技術」を開発し、さまざまな花色をもつ品種シリーズを育成した。イオンビーム育種による3大花卉の品種シリーズの実用化は世界初である。本研究開発により可能となったワンポイント形質改良は、優良品種の特性を損なうことなく花色シリーズ化できる、耐病性など重要形質を付与できる、各種作物に応用できるなど波及効果が高い。腋芽の少ない省力輪菊、環境修復能力に優れる植物、少肥栽培稲の育成などが進んでいる。
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© 2005 日本植物生理学会
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