日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体RNase E破壊シロイヌナズナ変異株の解析
*岸根 雅宏高林 厚史佐藤 文彦遠藤 剛
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p. 060

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抄録
葉緑体は、進化的にその起源を原核生物型の光合成細菌に持ち、遺伝子発現機構にも多くの共通点を含んでいる。我々は、葉緑体で機能する原核生物型RNaseの解析を通して、葉緑体における遺伝子発現の分子機構の解明と原核生物と葉緑体との相違点を明らかにすることを目指している。SALK instituteからシロイヌナズナの原核生物型RNaseホモログ破壊株を数ライン得て、それらから葉緑体機能に異常を示す破壊株を選抜した結果、3種の葉緑体RNase候補破壊株(RNase E、PNPaseおよびRNase E)を同定した(一昨年度本大会発表)。これらの破壊株において、ノザン解析により破壊遺伝子の発現を確認したところ、すべての破壊株で発現は認められなかった。また、それぞれの破壊株の表現型は単一劣性であり、抗生物質耐性とリンクしていることを確認し、破壊株の表現型が目的の遺伝子破壊に由来することが明らかとした。今回は、それらのうちRNase E破壊株についての解析結果を報告する。この変異株は、著しい生育の遅れ、葉色の淡化及び著しい光合成活性の低下が認められ、本酵素が葉緑体におけるRNA代謝において、重要な機能を果たしていることが示唆された。現在、葉緑体コード遺伝子のノザン解析によりRNase EのRNA代謝における機能解明を目指している。
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© 2006 日本植物生理学会
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