日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコBY-2細胞の細胞質分裂時におけるアクチン繊維の機能解析
*林 朋美佐野 俊夫朽名 夏麿桧垣 匠馳澤 盛一郎
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p. 065

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抄録
アクチン繊維は、植物細胞内において細胞の生存や形態形成に重要な役割を担うことが知られている。植物の細胞質分裂は微小管からなるフラグモプラスト構造内で細胞板が遠心的に形成され、細胞板が親細胞の細胞壁と融合することで完了する。この時期のアクチン繊維は微小管と似たフラグモプラスト様構造をとることが知られていたが、その詳細な構造や機能は明らかではない。そこで本研究では、細胞質分裂過程におけるアクチン繊維の機能を解析するために、アクチン繊維あるいは微小管を可視化した形質転換株BY-GF11とBY-GT16に細胞板構造を生体で可視化できるスチリル系色素FM4-64を用いて、これらの繊維構造と細胞板とを同時に可視化した。アクチン繊維あるいは微小管構造と細胞板構造の動態を経時的に観察した結果、アクチン繊維のフラグモプラスト様構造は微小管フラグモプラスト構造より遅れて出現し、また、微小管と比べて細胞板から離れて存在することが観察された。一方、細胞板は激しく振動しながら発達する様子が観察されたが、アクチンの重合阻害剤であるビステオネライドAを用いてアクチン繊維を破壊したところ、細胞板の振動が抑制され、細胞板が細胞壁に融合するまでにより長い時間を要した。これらの結果から、細胞板の発達にアクチン繊維が関わることが示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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