日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物体内カドミウム輸送のPositron Emitting Tracer Imaging System (PETIS)によるリアルタイムイメージングおよび動態解析
*藤巻 秀中村 進一鈴井 伸郎石岡 典子茅野 充男松橋 信平
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p. 151

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抄録
Positron Emitting Tracer Imaging System (PETIS)は、植物個体に与えたポジトロン放出核種の体内分布を非侵襲的かつ経時的に定量性よく観測できる装置である。最大の特長は、オートラジオグラフィーなどの手法と異なり動画像データが得られる点にある。これにより植物における物質輸送の動態を視覚的に理解することが容易になり、近年、様々な研究に利用されている。
本研究では、土壌および食糧の汚染が社会問題となっているカドミウムについて、植物体内における吸収・輸送・蓄積の挙動を動画像として可視化し、その動態を解析した。ポジトロン放出トレーサとして107Cd(半減期6.5時間)をイオンビーム照射および化学分離によって調製し、供試した。播種後4週のイネにトレーサを水耕液から経根吸収させつつ、根の基部から地上部にかけてイメージングを36時間行なった。その結果、生きた植物体内のカドミウム移行の様子を動画像として得た。さらに、植物体の特定部位におけるトレーサ量の経時変化曲線(time-activity curve)を動画像データから抽出し、水耕液中のトレーサ量の推移曲線との関係について動態モデルを適用して解析した。その結果、水耕液から地上部の特定部位に至る吸収・輸送の速度などの生理的パラメータの推定値を得ることに成功した。
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© 2006 日本植物生理学会
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