抄録
キシログルカンエンドトランスグルコシラーゼ(XET)は、細胞壁中のキシログルカン分子を繋ぎ換える転移反応を触媒する酵素であり、細胞壁の構築や再編に関与すると考えられている。本研究では、成長しているエンドウ上胚軸に存在するXETアイソザイムについて、それぞれの酵素反応機構を網羅的に解析した。エンドウ上胚軸の酵素抽出液から、5つのXETアイソザイムが精製された。精製酵素のpI(および分子量)は、電気泳動において、それぞれ7.8 (31 kDa)、7.1 (29 kDa)、7.0 (31 kDa)、6.8 (29 kDa)および6.5 (29 kDa)であった。これらのアイソザイムの至適pHは、5.5-7.0の範囲であった。加水分解による還元力の増加を測定し活性を求めたところ、いずれの酵素もキシログルカンに対する加水分解活性は示さなかった。また、他のグルカンやキシラン等の多糖類には転移活性を示さなかった。ドナーとなる高分子キシログルカンとアクセプターとなるキシログルカンオリゴ糖を基質に用いて酵素反応速度論的に二基質反応機構を解析したところ、XETによる転移反応はピンポン機構ではなく、酵素が両基質と結合して、酵素・ドナー・アクセプター複合体を形成することにより転移反応を触媒するシークエンシャル機構で働くことが示された。