日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ホウ素欠乏耐性ギンドロ培養細胞におけるペクチンメチルエステラーゼ遺伝子の発現
*掛川 弘一
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p. 196

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抄録
ホウ素(B)は高等植物の微量必須元素であり、その欠乏は成長や形態形成に著しい影響を及ぼす。演者はこれまでに低ホウ素条件下(5 μM)で成長可能なギンドロ培養細胞系(1/20-B) を確立し、B欠乏耐性機構について研究を行ってきた。その結果、1/20-B細胞のペクチンメチルエステラーゼ(PME)活性は十分なホウ素存在下(100 μM)で培養した細胞(1/1-B)よりも上昇しており、活性の上昇がB欠乏耐性に関与している可能性が示唆された。また、PME遺伝子の発現とホウ素欠乏耐性との関連を調べるためにPME遺伝子をクローニングしたところポプラのPME1遺伝子と高い相同性を持つことが示された。今回、1/1-B、及び1/20-BにおけるPME遺伝子の発現パターンを調べたので報告する。
PME遺伝子の発現はどちらの細胞でも継代後8日目に最大になっていた。しかし、1/1-Bでは発現時期が1~9日目なのに対して1/20-Bでは14日目まで発現が観察され、特に8~10日目は高い発現量を維持していた。この時期は伸長成長期にあたりホウ素欠乏は分裂成長よりも伸長成長に影響を及ぼすことが知られていることからこの遺伝子発現がホウ素欠乏耐性に関与していることが示唆された。また、PME活性が非常に高くなっていた2日目には遺伝子の発現が増大していないことからこの活性誘導には遺伝子の発現を伴わない調節機構があると考えられた。
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© 2006 日本植物生理学会
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