抄録
高等植物は発芽後、芽生えの頂端部にある茎頂分裂組織から地上部のすべての器官を新たに発生させる。茎頂分裂組織は胚発生過程で生じ、自ら未分化な状態を保ちながら新たな器官を作るための細胞を生み出す。シロイヌナズナの転写活性化因子をコードするCUP-SHAPED COTYLEDON1(CUC1)とCUC2は互いに重複しつつ、胚発生過程で茎頂分裂組織と子葉境界部の形成に重要な役割を果たす。つまり、それぞれの単独変異体ではほぼ正常な芽生えの表現型を示すが、cuc1 cuc2二重変異体では子葉が融合し、茎頂分裂組織を欠失する。一方、CUC1の異所的発現体(35S::CUC1)では子葉の表面に異所的な分裂組織が形成される。
我々はCUC1の下流で機能する遺伝子を同定するために、オリゴDNAマイクロアレイ法によるスクリーニングを行なった。まず、野生株とcuc1 cuc2株に関してCUC1発現初期段階である魚雷型胚由来のRNAを比較し、cuc1 cuc2二重変異体において発現が低下する遺伝子を選抜した。その結果、CUC1およびCUC2の下流候補遺伝子が新規に62個得られた。また、35S::CUC1の芽生えを用いたマイクロアレイ解析から、CUC1の異所的発現により発現が上昇する遺伝子を別に12個得た。現在これらのCUC1およびCUC2の下流候補遺伝子について、野生型胚における発現パターン及び、各候補遺伝子の発現に対するCUC1、CUC2の影響をReal Time-PCR法を用いて解析中であり、その結果を報告する。